一次試験に比べ、二次試験の対策は人を迷わせます。
「面接と教科等指導法、正直どう勉強すれば突破できるのか見当もつかない…」
そう思う方は多いんじゃないかと思います。私もその一人でした。
このページでは、北海道の二次試験について、本質的な考え方と具体的な対策について書きました。
読んでくれた方が「二次試験の対策、自分はこれを準備します」と言える状態になることを目標として書いてみますね。
一次試験と二次試験で求められるものの違い
一次試験と二次試験には大きな違いがあります。求められる答え、アウトプットの性質が真逆なのです。
一次試験は「正解」、二次試験は「意見」を求められる
一次試験で求められるアウトプットは「正解」。
一次試験は「これ知ってる?」という知識が徹底的に求められます。マークシートに知識を吐き出していく、いわゆる日本人が得意としてきたアウトプットです。
二次試験で求められるアウトプットは「意見」。
二次試験では、面接と教科等指導法を通し、「君はどうかんがえる?」というような意見の表明を求められます。どう対策するか悩ましいのはこの性質があるためですね。
意見を表明するって何だ?
意見とは「自分の立ち位置を明らかにすること」です。
様々な課題やテーマに対し、「私はこう考えます」「私は賛成(or反対)です」とポジションをはっきりととること。
例を出すならば、「ラーメンとカレー、今日の昼はどっちを食べる?」と聞かれ、「ラーメンです」と答えるようなイメージです。
このラーメンとカレーの問い、そこに正解はありますか?ありませんね。
「はいみなさん、今の問いですが、正解はラーメンですよ。カレーの人は間違いですよ」なんて、言われるわけがないですよね。
“意見をもつ”とは、「正解のない問題に対するアウトプット」なのです。
「何を言えば正解なのだろう?」という意識ではなく、
「自分はその問題を考え抜いて自分なりの答えを持っています」と言えることが目標となります。
意見をアウトプットする基本形
自分の意見を表す方法。その基本形は、
- 結論(自分はこうする、こう考える)を表明する
- 根拠を述べる
- 必要に応じて具体例を語る
というステップです。
意見を考える方法
ひとまず結論を持ちます。
その上で、なぜその結論を選んだのか、根拠を書き出します。いくつあっても良いです。
根拠を揃えたら、次にそれらに対する反論を書き出します。
反論を想像する中で「あれ?こっちの結論の方がいいんじゃない?」となればそちらへ寝返る(笑)
以上の手順をなぞっていけば、自分なりに考え抜いた「意見」をもつことができます。
ここまでで二次試験対策の基本的な考え方の話はおわりです。
次に、面接と教科等指導法について対策を具体化していきます。
二次試験対策「個人面接編」
個人面接では、教育の諸問題について「意見」を口頭で述べていきます。
面接官は願書に書かれている結論がデタラメなのかどうかを質問によって確認していきます。
一次試験をしっかり対策する
一次試験、つまり「正解のある問い」をしっかりと対策することが、強力な二次試験対策になると思います。
採用試験の一次で問われる「正解のある問い」とは、学校教育の基礎知識。それらは、いざ意見を表明する際の「根拠」、結論を考える際の手札となってくれるのです。
もちろん、教職教養だけを手札にしてしまうとリアリティのない意見になってしまいます。体験も交える必要があります。が、専門家としての採用試験ですから、「基礎知識に則った根拠」は言えた方が自分の意見の説得力は高まると私は思います。
願書に書いた内容をエピソードで語る準備をする
Webエントリーシートの最後の方に「願書」と書かれた項目が並んでいます。
教員を目指す理由、生徒指導上気をつけていること、といったあの欄です。
個人面接ではそこに書かれた内容を面接官が質問していく形で試験が進みます。
では面接官は書かれた内容についてどのような切り口で質問してくるか?
それは「具体的なエピソード」です。
意見表明の基本形「結論、根拠、具体例」のうち、面接官は具体例を語るよう求めてきます。
受験者「私は生徒指導において、強く叱らず共感的に事実を聞き取る姿勢をもった教員でありたいです。子どもたちには問題行動の裏に本当は言いたかったことが(略」
面接官「実際にその姿勢で指導を行ったエピソードがあればお聞かせください」
面接の場で見られている項目は「根拠」「具体例」だと考えてください。
面接官は、根拠と具体例を見ることで、受験者の語る意見が”薄っぺらいその場しのぎ”なのか”その受験者が真に持つ価値観”なのかを見極めようとしています。
なので、二次試験が近づいたら願書に書いた内容を一度見直しましょう。
それぞれエピソードをすぐに出せるようにしておくことは、有効な準備になると私は思います。
教育時事に対して意見をもつ
教育時事のニュースを見かけたら、その内容について意見をもとうとしてみてください。
繰り返しになりますが、「意見をもつ」とは諸問題に対し、自分の立ち位置を明確にして考えを語ることです。
意見をもつためには、事実や知識を集めじっくりと考える必要があります。
その作業を通し、二次試験で必要な「考える力」が身につきます。日々の仕事に使う「教員力」みたいなものも磨かれると自分は思います。
1メッセージの意識
相手は人間です。一息にあれこれしゃべってしまうと、面接官も内容を覚えきれません。言いたかったことが伝わらないという残念な結果に終わってしまいます。
これもあります。あれもあります。こんなこともあります。
言いたい気持ちはおさえ、回答は何か一つに絞って短くしゃべるのが良いと思います。
二次試験対策「教科等指導法編」
2022年現在、教科等指導法では「授業を設計する力」の理解をベースにした「自分の意見」を筆記で求められます。
最新の授業の基本を知っておく
現行の指導要領に即した授業スタイルを学習し、できれば普段から実践しておくと良いです。
例えば算数であれば、
- 問題の提示
- 解決に必要な課題の洗い出し
- 課題設定
- 自力解決
- 発表、議論
- まとめ
- 振り返り
という流れを知っているかどうか、その流れに則った自分なりの授業設計を提案できるか。そこを見られる内容の試験になっています。
所々穴のあいた単元計画が試験問題として提示され、
「どのような課題を子どもたちに提示しますか?」
「振り返りとしてどのような活動を行いますか?」
といった内容を記述式で回答します。
普段から現行の授業スタイルの基本をなぞっていれば、特に困ることなく答えられる程度の難易度と言えます。
すでに現場に立っている教員であれば難なく終えられる試験である一方、学生にとっては難しい内容です。
授業設計を学べる大学であればよいのですが、それが難しい場合は自分なりに授業を知ろうとしてみてください。
Webを検索すれば、様々な学校の指導案が見つかります。それを一字一句書き写す(写経する)のが私のおすすめの勉強法です。とりあえず流れは掴めますので。
おわりに。二次試験対策はいつから始める?
二次試験対策はいつから始めるのがよいか。
「4月」でしょうね。
願書を作って提出するのが4月ですから。
個人面接は願書をもとに進められるものなので、「自分との対話」「答えのない問いに対する自分なりの意見作り」を済ませるのは4月がリミットです。
とはいえ二次試験直前であっても対策はできます。
4月に自分が書いた願書とにらめっこして、願書に書いた結論に対し、根拠やエピソードをあれこれ考えてみてください。
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