北海道で臨時教員を始める際、よほどの都市部でない限りは教員住宅選びについて考えることになります。
このページでは、初めて教員住宅を選ぶことになった方が読むことを想定して、私が過去に住んだ物件や友人たちの話をもとに、参考になりそうな情報をまとめました。
- 教員住宅の選び方
- 民間アパートとの比較
- 学校の近くに住むか遠くにするか
この3つのテーマに分けて書いたので、必要な部分を読んでもらえればと思います。
教員住宅はトイレと築年数を見る
最低限住める物件かどうか、私はトイレと築年数から見るようにしていました。現地で物件を内覧できれば一番良いのですが、無理な場合はトイレと築年数だけ電話等で確認すると良いです。
トイレの見方
トイレが「水洗」「浄化槽」のいずれかであれば合格。「くみ取り式」ならば遠慮する。そういう基準で見ていました。
くみ取り式を避けるのは、トイレ内や家の外の臭いが嫌なこと、使用感がどうも慣れないこと、不衛生さを感じてしまうことが理由でした。
くみ取り式はトイレ内だけでなく、家の外も臭うんです。トイレ内が臭わないよう「臭突」という煙突のような仕組みが備わっているのですが、それはトイレの下に溜まった汚物の臭いを家の外へ逃しているだけ。結局外が臭ってしまうんです。
私はイヤな臭いというものに敏感なので、生活の質が著しく下がってしまいストレスを受けてしまうくみ取り式は極力避けるようにしていました。
ちなみに「浄化槽」というのは家の下にその家専用の浄水施設をつけたようなイメージです。水洗トイレ感覚で全く違和感なく使えるので浄化槽はOKです。
築年数の考え方
平成に建てられた物件は無条件でOK。昭和50年代は疑う。昭和40年代は色々と厳しい。そんな感じでゆる〜く基準を作っていました。
先述のトイレ問題とはちがい、築年数はおおまかな基準です。昭和の物件でも良いものはあるので。
さて、築年数が実際の生活に引き起こすデメリットとは何か。それは暖房費と健康問題です。
私は昭和40年代築の教員住宅に2度住んだことがあります。まず言えるのが「とても寒い」ということ。ストーブで暖めた空気が部屋中から逃げていってしまうんです。
暖房効率がとても低いため、冬の灯油代がかさみます。4万ぐらいかかっていましたね、確か。
また、建材の問題なのか別の理由があるのか、カビが発生しやすかったです。その影響か、やたら風邪をひきました。肺炎にもなりました。結局病院代がちょくちょくかかってお得感がイマイチでした。
というわけで、築年数で全てが決まるわけではありませんが、選べる状況なのであれば昭和40年代とか30年代(あるのか!?)みたいなのは避けた方がいいんじゃないかなぁと思います。
教員住宅か民間アパートか
ほどほどの規模の街になると、教員住宅の他に「民間アパート」という選択肢が出てきます。両者は一長一短なので、それぞれメリットを書き出してみます。
教員住宅のメリット
教員住宅のメリットは次の3つかと思います。
- 家賃が安い
- 諸費用が安い(というか無い)
- 色々と自由
まず家賃。安いですよ。私の最安記録は4900円。一番高いもので11000円でした。知人達の話を聞く限り、平成築など高いものでも20000円前後が上限なんじゃないかなと思います。
次に諸費用。これは入居時や退去時にかかるお金ですが…払った記憶がありません。紹介料、敷金、清掃代、修繕費…何も払っていません。もの凄い話です。
そして個人的にとても幸せなメリットだと思ったのが「色々と自由」であること。
部屋を多少雑に扱っても許される自由。
近所迷惑をそれほど気にしなくてよい自由。
隣人がいても同業者なので気を使わなくてよい自由。
教員住宅は入居した時点でそれなりに壊れたり汚れていたりするので、役場の担当者もそれほど厳しいチェックはされませんでした。
私が過去に入居した教員住宅は2戸がくっついた長屋タイプか一戸建てタイプ。特に一戸建てタイプの時は多少音を出そうが誰の迷惑にもなりません。若くして一戸建ての主。最高の生活でした。
そして隣人。人によっては同業者が隣人というのは嫌なのかもしれませんが、私はその環境が好きでした。教員という立場上、地域の方と関わる際は「仕事人モード」で立ち回らなければなりません。でも相手が教員ならば素でいられる。私にとってはこれはありがたいことでした。
以上、教員住宅は何かと自由な感覚で過ごせるので、私のような雑に生活していたい人間にとってはメリットの多い環境だったと思います。
民間アパートのメリット
民間アパートのメリットは次の4つだと思います。
- 住宅手当が出る
- 職場環境から離れられる
- 住環境が素晴らしい
- オール電化を選ぶと天国
まずは何と言っても住宅手当。13000円以上の物件に住む場合に支給されるので、ほぼ全ての物件でこれが出ます。
自ら居住するため住宅を借り受け、現に居住し、月額13,000円を超える家賃を支払っている職員。 (条例第10条の2の3第1項第1号)
住宅手当の額は、家賃が24000円を超えるか否かで計算式が変わります。
<24000円以下>
家賃の月額ー13000円<24001円以上>
(家賃の月額ー24000円)÷2(←17000円が限度)
これに11000を足した額
大体の場合、24001円以上の方の計算式になると思います。試しに月額50000円の物件で計算してみましょう。
(50000ー24000)÷2=13000
13000+11000=24000
50000円の物件に住むと、24000の住宅手当が出ることになり、実質家賃は月26000円となります。
50000円というと北海道の田舎の独身者向けアパートの相場としては最高クラス。それが26000円で住めるというのはもの凄い話です。
次に職場環境から離れられるというメリット。学校から離れた場所に住み、同僚とも顔を合わせずに完全なオフを過ごしたい人に民間アパートは向きます。
そして住環境の良さ。上記のとおり、家賃補助を生かしてランクの高いアパートを狙えますから、当然住宅の質は良くなります。清潔で暖房効率も良い、オシャレで文化的な生活を求める人には良いですね。
最後にオール電化の話を。私は今までに2度オール電化アパートに住みましたが、もの凄い暖房効率でした。生活で使う電気と暖房としての電気を合わせて2万円前後で決着がつきます。灯油代に4万払って別に電気代も払っていた昭和40年ものの教員住宅とはえらい違いです。
オール電化のストーブは、電熱線でストーブ内の石を温め、それに風を当てることで温風を作り部屋に吐き出す仕組みでした。石の温めは電気代の安い夜間に行われます。これが見事に安いしとても暖かいのです。
ちなみにオール電化の物件は50000円と55000円でした。この価格帯の物件を狙うと、オール電化物件と出会える機会も生まれるということです。
住宅から学校までの距離を考える
最後に住宅と学校の距離について考えます。これは正解のない問題。その人がどう生きるかですね。
住宅が校区内にあるか否か
住宅が校区内にあるか否かで、生活の感覚は大きく変わります。
校区内に住宅があれば、日常の買い物や散歩で児童生徒や保護者と顔を合わせることになります。町内会でも同様。「街に入り込む教員像」です。
一方、校区外に住宅を決めると、仕事が終わって家に帰れば、教員ではない全く違う自分として生活することができます。
正解は人によって違う
この考え方、正解は人によって違うと思います。
私は前者でした。学校の隣に建つ教員住宅に住み、地域住民の一人として買い物やサークル活動を楽しみ、時々家に来ようとする教え子達の突撃を交わし、保護者との飲み会では帰りの心配がないから最後の最後までご一緒する。そんな生活が好きだったので。
でもこの生活は人によっては強烈なストレスを感じると思います。実際、最初は教員住宅に住んだものの、すぐに隣町の民間アパートを借りて引っ越した臨時教員の友人も何度も見てきました。
この問題については、自分がどんな生活、生き方をしたいのかを早い段階で見極めるのが大切かと思います。別にどちらが正解とかではなく。地域の方々からは先生には地元に住んでほしいという願望がなんとなく見えましたが、そこは自分の人生、自分のプライベートですので好みの生活を選んだらいいと思います。
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