北海道の臨時教員に車が必要な理由とその選び方

北海道で臨時教員として働くうえで、自家用車はまず間違いなく必要になります。

このページでは、北海道の車事情を知らない人が読むことを想定して、臨時教員生活を満足に過ごせることを目指して情報をまとめました。

私は北海道で生まれ育ち、臨時教員や正採用教員として道内各地で小学校教員をやった人間です。また、東京に住んでいる状態から北海道にUターンしようと、東京の中古車ディーラーで北海道仕様の車を買った経験もあります。

その立場から話せることを経験ベースで語ります。

北海道の教員生活に車が必要な理由

 

北海道で教員として仕事や生活をしていくうえで、自家用車は必須です。

それは自家用車が

  • 唯一の通勤手段
  • 唯一の生活の足
  • 仕事で使う公用車

だからです。赴任する土地にもよりますが、車がないと本当に詰みます。

 

唯一の通勤手段として

学校までの通勤に車を使います。会社や工場等と違い、学校は基本的に住宅地にあります。そのため公共交通機関とは縁のない場所であることが多いんです。

たとえば、

住宅地→オフィス街、住宅地→駅前、住宅地→工業用地

というバス路線やJR路線ならば、あるところにはありますし、本数も比較的整っています。

ところが、

住宅地→別の住宅地

なんて路線はまずないんですよ。需要がないので。路線があっても本数は雀の涙です。学校は基本的に住宅地にありますから、公共交通機関でのアクセスが難しい場合が多くなるのです。

 

通勤で車を使わなくて済むケースは、学校の隣に建っている教員住宅に住む場合。もう一つは札幌市内に住んで札幌市内の学校に勤務し、ちょっと手間はかかるけど公共交通機関でどうにかしよう!と決めた場合です。

 

唯一の生活の足として

北海道は全ての市町村で完璧な買い物はできません。小さな町村に住むと、週末に車で近くの中核都市まで数十分かけて出かけ、日用品や娯楽を買い回って帰る、というライフスタイルが基本となります。

 

後志振興局を例にしてみますね。

小樽市を除外して考えれば、余市、倶知安、岩内の3町が比較的商業施設に恵まれています。

そのため、例えば赤井川村に赴任すると週末は余市へ出かけます。20分ぐらいかけて山道を運転。

積丹に住めばもうちょっと長い距離を走って余市へ。泊村なら岩内町へ、という感じです。

 

このように、赴任した土地によっては、車なし通勤をどうにか頑張ったところで結局私生活で完全に詰みます。

 

仕事で使う公用車として

学校で働き始めると、公用車届みたいな名前の書類を書かされます。「あなたの持ってる車を公用車として登録します。これで出張や家庭訪問などでその車を使えますよ」という意味合いのものです。

教員をやっていると、他の町の学校まで授業を見に行ったり会議に行ったりする機会が結構あるんです。どの立場にいても、最低年5、6回はあります。他の町、といってもそこは北海道。隣町まで車で30分とかザラです。目的地によっては2時間ぐらい車で走ることもあります。

加えて、家庭訪問も結構な距離ですよ。1つの町に1つしか小学校がない場所だと、学校から児童の家まで車で10分20分かかるなんてことは普通にあります。

会議等で他の町に出向くならば同僚の車に同乗させてもらえばどうにかなるっちゃなりますが、家庭訪問は基本1人なのでそうもいきません。やはり自分の車がないと詰みます。

 

北海道の教員生活に向けた車の買い方例2つ

臨時教員を初めてやる22歳の自分に向かっておすすめの車を語るなら…という想定で、車選びの知識を書き出してみます。

  • 冬も使える
  • できるだけ安く買える
  • 壊れにくい
  • 低コスト

この辺を意識しながら選びます。

 

【結論①】寒冷地仕様で4WDの軽自動車の50万円クラス

  • 冬も使える=寒冷地仕様&4WD
  • 低コスト=軽自動車
  • 安く壊れにくい=50万円クラス

1つ目の選択肢がこれ。寒冷地仕様で4WDの50万円程度の車は北海道の教員生活に適していると思います。

寒冷地仕様と4WD で冬を過ごせるように。軽自動車にすることでタイヤや税金といったコストを抑える。20万30万の車は後々損をするケースが多いので順当に50万円台をという狙い。

 

この基準が向く方は次の条件に当たる人です。

  • 数年で乗り換えるかもと考えている
  • 住所から学校までが近い
  • 初期投資を安く済ませたい
  • 安全運転派

◎数年で乗り換える
→雪道に慣れていない人や車をよく知らない人が、壊したりぶつけたりしても損した感が少なくて済みます

◎住所から学校までが近い
→安い軽は燃費があまり高くありません。通勤距離が長くなるほど不利になります

◎初期投資を安く済ませたい
→軽は50万円も出せば最低限の通勤グルマが買えるので

◎安全運転派
→加速が悪いです。なのでスピード狂の人は古い軽は向きません

 

【結論②】寒冷地仕様で4WDの低燃費コンパクトカー100万円〜150万円

  • 寒冷地仕様&4WD
  • リッター25km〜35kmの低燃費車
  • 価格を100万〜150万に抑えたコンパクトカー
  • 安全機能が期待できる

こちらがもう一つの選択肢。初期投資は増えますが、安全性が高いのと低燃費がメリットです。あと走ってて爽快感もあるのでドライブが好きな人はこっちかもですね。

  • 通勤距離が長い
  • 5年は乗りたい
  • 冬道を安全に走りたい
  • ドライブが好き

↑に当てはまる人向けです。

年式の新しいコンパクトカーには「横滑り防止機能」や「アラウンドビュー」、すごいところだと「ホンダセンシング」みたいな快適機能がついてたりします。

安全性能が一気に高まるので、運転に自信がない人で初期投資に目をつぶれるのであれば、100万円台のコンパクトカーはいい選択肢です。

 

燃費の話

さっきから燃費燃費と言いますが、これ、計算してみると案外馬鹿にできないことがわかります。

極端な例として、リッター10キロの車とリッター30キロの車で比べてみます。

<リッター10km、通勤距離が10kmの場合>

往復20km×20日×12ヶ月=4800km

4800km÷10=480L

ガソリン1L=170円とすると、

170円×480L=81600円

 

<リッター30km、通勤距離10kmの場合>

往復20km×20日×12ヶ月=4800km

4800km÷30=160L

ガソリン1L=170円とすると、

170円×160L=27200円

通勤片道10キロの場合、燃費10キロの車が年間81600円、燃費30キロだと年間27200円となります。差は54400円。5年乗ったとすると、272000円の差が出ます。

 

さて、今度は通勤片道30キロで計算。北海道の教員は、家族や持ち家の関係などで住所を移しにくい場合、通勤片道30キロ40キロなんてことはざらにあります。

<片道30キロの一年間のガソリン代>

リッター10kmの車・・・244800円
リッター30kmの車・・・81600円

一年あたりの差額は163200円。これを5年乗ると、816000円となります。

 

実際には夏休み冬休みがあるのでかなり乱暴な計算ではありますが、一方で休日も近くの街に出かけたり、それこそ出張で遠い学校まで出かけたり。なんだかんだでこの計算にそれなりに近いところに収まってくるのではと思います。

ちなみに私の通勤片道距離の最高記録は70km。往復140km。ためしにこの距離で燃費10と燃費30を5年で比較すると、差額は190万4千円。まぁそんな長距離通勤の学校に5年も務めることはありませんが(笑)

車を買うにあたっては、家から学校までの通勤距離を気にしたうえで、車両価格と燃費の比べっこをしてみるといいですよ。

 

北海道の車選びよもやま話

基本的な選び方は上で解説した通り。

ここではその他、北海道のカーライフで役に立ちそうなミニ知識を並べました。

寒冷地仕様は必須

  • 電気系統が強くなる
  • 窓やミラーの雪や氷を溶かすヒーター装備
  • ワイパーのパワーが強い

一般的に寒冷地仕様というと、上のような装備がプラスされます。

電気系統は寒いとバッテリーがすぐに上がるので、その対策として大容量バッテリーやそれに対応する発電機が装備されます。

窓やミラーについた雪や氷を溶かすヒーター機能。運転席からボタン1つでいつでも作動します。

ワイパーのパワーは冬に雪をはねとばす際に必要です。

 

北海道で売られている車は基本的に寒冷地仕様。ですが本州で車を買って北海道に移住するという場合は、その車が寒冷地仕様かどうかをチェックするといいです。命に関わります。

 

軽自動車は維持費が安く済む

軽自動車は購入時や車検時の税金や毎年の自動車税が安く済みます。

また、タイヤも普通車に比べて格安で買うことができます。

高速道路も安い。

特に北海道では3年に一度ぐらいのペースでスタッドレスタイヤを買うので、タイヤが小さく安い規格の軽自動車はコストが良いと言えます。

 

10万20万の車は後々損をする気配

10万円や20万円の中古車もあるにはあります。

が、そういう車は遅かれ早かれ壊れます。修理工場行き。結局お金がかかります。燃費も悪いものが多いですし。

最低でも50万円クラスを狙うのがいいです。

 

海沿いは塩害ガード必須

塩害ガードのないクルマで海沿い生活をすると、下回りが錆びます。車に傷があるとそこからもガンガン錆びていきます。

下回り、特にマフラーなんかが錆びやすいのですが、いざ錆びるとなかなか大変ですよ。サビが穴になり、マフラーから爆音が鳴るようになり、周囲からは白い目で見られ、修理で6桁級のお金がかかり、車検にも通らない。

後々大損しますので、海沿いはもちろん、そうでなくても塩害ガードがついている車を選ぶといいです。

 

スタッドレスタイヤと冬用ワイパーについて

 

雪国に住んだことがない人に話すつもりでスタッドレスタイヤと冬用ワイパーを解説します。

スタッドレスは迷ったらブリザック新品

スタッドレスタイヤには高級品から格安タイヤまで様々なブランドが売られています。

結論、「迷ったらブリザックの新品」です。

スタッドレスタイヤの性能差として出てくるのは、

  • 耐用年数
  • 制動距離

の2つ。

良いタイヤを使うと「3年はもつ」と言われています。が、エコノミーなものを使うと2年が限界。

また、良いタイヤはブレーキをかけてから完全に車が止まるまでの制動距離が明らかに短いです。路面がツルッツルの日はブレーキをかけてもしばらく車がガガガーっと滑って進んでしまうのですが、良いスタッドレスタイヤはその滑る距離が短いのです。

特にこの制動距離の問題から、私は雪道運転に慣れていない人ほど良いスタッドレスタイヤを使うべきと考えています。

そして。

北海道に住む人に「一番良いスタッドレスタイヤって何?」と聞けば、まず間違いなく「ブリザック」と答えるでしょう。信頼と実績のブリザック。

 

冬用ワイパーの存在理由

タイヤを交換する際、合わせてワイパーも替えます。夏用ワイパーと冬用ワイパーがあります。

これは窓から飛ばしたいものが「雨」なのか「雪」なのかの違いによるものです。

夏用ワイパーでは真冬の重い雪や氷を跳ね飛ばすことができません。また、ゴム部分が凍りやすいです。凍った状態でワイパーを動かしても、窓とワイパーの間が隙間だらけになり、いよいよ何も見えなくなってしまいます。

一方、冬用ワイパーは対雨性能がいまいち。

雪国生活に慣れないうちはガソリンスタンドや整備工場にタイヤ交換を頼むと思いますので、車のトランクにでもワイパーを放り込んでおいて、タイヤ交換のときに一緒に交換してもらうといいです。

 

タイヤ交換事情

タイヤ交換をいつ行うか。これは永遠のテーマです。また、北海道と一言に言っても函館から稚内まであるわけで、土地によって交換時期は違ってくると思います。

なんとなく、夏→冬は11月上旬。冬→夏は4月中旬辺りかなぁというところです。

私は考えるのが面倒なので、毎年冬→夏はGWに替えるもの、と決めてしまっています。

 

車なしでの生活は可能か

 

最後に、車なし生活について触れておきます。

札幌市内であれば可能

札幌市内で働くのであれば車なしでも十分に可能でしょう。実際、私が過去に札幌市内で臨時教員をやったとき、車を使わずにバスや電車で通勤している先生方はいました。少数派ではありましたが。

私生活の方も、徒歩でどうにかなる距離に大体お店がありますからね。札幌は住む場所の選択肢が無数にありますから、赴任先の学校までのアクセスを考えながら徒歩で暮らしやすい地区を選べばいいと思います。

 

10月まではどうにかなるかも

札幌市外の場合も10月までならどうにかなると思います。自転車フル活用で。

夏頃に本州から赴任してきた臨時教員が知り合いにいるのですがその人はバイク1台で来ましたね。すべての移動をバイクでまかなっていました。雪のない地域ではわりと一般的な選択肢です。

 

雪が降ってからは車必須

自転車やバイクは雪が降ったら使い物になりません。すると通勤はもちろん、買い物1つ行けなくなってしまいます。

つまり車なし生活のリミットは雪が降り始める11月。過去に、近くに住んでいる教員仲間の車に乗せてもらってどうにかしのごうとした筋金入りの人もいましたが、あれは面倒ですよ。

 

自動車無しで赴任しても冬までに免許と車を持とう

というわけで、赴任してすぐに車を準備できない人は、とりあえず車なし生活でスタートすると良いと思います。

臨時教員として働いていればすぐにまとまったお金が手に入りますから、それを使って冬までに自動車免許なり50万の軽自動車なりを揃えていけばいいと思います。

 

終わりに

とても長い文章になってしまいました。最後にもう一度まとめます。

  • 札幌市以外は車必須
  • 50万〜の軽か100〜150万程度のコンパクトカーが良い
  • スタッドレスタイヤにはお金をかけよう
  • すぐに車を用意できなければ11月までに買う計画を

北海道は典型的な車文化なので、買うと北海道内をあちこち冒険できて面白いですよ。冷蔵庫や洗濯機と同等、白物家電の1つだと思ってサッと買っちゃってください。

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